第3次地域農業振興計画
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 令和2年にオープンしたイチゴ農園「Slow Farm」は農業振興地域の早野でひときわにぎわいを見せています。園主の安藤圭太さんは、10年間企業に勤めている時から自身で事業を立ち上げることを考えており、実家が農家ということから「農業分野でこれまでになかった経営を取り入れたい」と31歳の時に就農しました。 現在は1.5haの面積で、両親、妻、弟に加えてパート5人とパティシエ2人を雇用して施設イチゴと露地野菜30品目を栽培しています。イチゴについてはイチゴ狩りに加え、自農園直売や柿生野菜生産者直売会、セレサモス、さらには近所の洋菓子店への出荷も行っており、野菜については収穫した全量を柿生野菜生産者直売会へ出荷しています。 新たに建設した施設は環境制御装置を完備し、温度や湿度、水の管理などハウス内の環境を常にイチゴにとって最適な状態に保てるようにしています。導入の決め手は、より精密な栽培管理が可能になることと、省力化することによって作られた時間で他の仕事ができ、作業効率が上がることでした。導入したことにより、細部まで管理が可能になり一作が終わった後に得られるデータの質も向上したので次の作に向けての改善点をより明確に把握することができたとのことです。 今後は、施設に隣接した洋菓子店をオープンさせ、パティシエと一緒に自農園のイチゴを使ったお菓子を提供していく予定です。農産物を作る・売るはもちろんですが「Slow Farmの作物を食べることによりお客様の生活が豊かになること、お客様が住んでいる地域に誇りを持てるようになれば」と今後を見据えています。 アスパラガス「採りっきり栽培®」 「アスパラガスは売れるのか。上手く栽培できるのか」黒川で4代続く農家の梅沢正廣さんは、現在50aの農地のうち10aでアスパラガス「採りっきり栽培」に取り組んでいますが、当初は新たな挑戦に対して半信半疑でした。 同栽培法は学校法人明治大学農学部野菜園芸学研究室とパイオニアエコサイエンス株式会社の共同研究により開発され、従来の露地栽培では本格的な収穫まで3年かかるところ約1年で収穫でき、毎年株を更新するので病害が発生しにくいのが特徴です。川崎市では平成28年度より黒川地区に導入され、令和元年度より当JAと明治大学で同栽培法の普及を目的とした委託研究契約を締結し、市内の生産量は年々増加しています。 梅沢さんは初年度より同栽培法に取り組み、収穫したアスパラガスは300円/100g以上でセレサモス麻生店に出荷。リピーターも定着し始め令和2年度は完売しました。「果菜類などと比べて栽培期間は長く防除に気を使うが所得向上につながった」と笑顔の梅沢さん。 「JAには、令和元年度と2年度に開催していた栽培に関する講習会を継続しつつ、圃場巡回や栽培技術向上に向けた研究会の開催と販路の確保をしてほしい」と当JAの栽培指導の強化と販路拡大に期待するとともに「品質・収量を向上させられるよう、いかに病気を出さないかの研究を続けていきたい」と今後の目標を話してくれました。8安藤 圭太さん梅沢 正廣さん2.先進的取り組み事例紹介 施設イチゴ

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