第3次地域農業振興計画
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 26歳の時に父からの誘いで4年間勤めた生協を退職し就農した木所大輔さんは、高津区下作延にある40aの畑で、祖父、母、妻の4人で施設トマトと露地野菜を栽培しています。 トマトは直売所の商品の中でもメインとなる品目でありお客様の目に留まりやすいことに加え、長期にわたって収穫ができるので端境期対策にもなり収入向上が見込めると考え、平成30年に環境制御装置・細霧冷房機・培地加温を完備した農業用施設を建ててトマトの長期多段取り栽培を始めました。品質にもこだわるために培地には味がのりやすいヤシ殻を取り入れ、品種は若い共働き世代にも野菜を手に取ってもらえるように大玉ではなく中玉やミニトマトを選び栽培しています。 自農園直売所のほかに飲食店への納品やスーパーへの出荷も行っており、設備や品種選定にこだわった結果、お客様からは味が良いと好評で以前より収入も向上し手応えを感じています。 今後はさらなる収量・収入向上に向けて施設の増設も視野に入れながら「これからもお客様に喜んでいただける野菜の栽培をしていきます」と意欲的です。 多摩川梨 JR南武線中野島駅近くの50aの畑で、梨を中心に柿や柑橘類、野菜を栽培している田村英喜さんは、父の体調が悪くなり果樹栽培が難しくなったことから30歳の時に就農しました。 近年、果樹生産者の仲間が根圏制御栽培や総合的病害虫防除(IPM)として天敵製剤を用いた栽培管理を実践しているのを見て、自身の梨園にも導入しました。平成30年度に導入した根圏制御栽培は早期成園化を図ることが可能で、2年目には収穫ができるとともに日々の作業効率も上がりました。また、令和2年度に導入した天敵製剤を用いた栽培管理は、天候に左右されずに病害虫の防除が可能となりました。「導入して満足しています」と新技術に手応えを感じています。こうして生産した主力の梨は、地方発送や駅に近い立地条件を活かした直売所で好評を得ています。 今後については「導入している新技術を自分の生産方法として定着させること。さらにお得意様に加えて、新たなお客様にも喜んでいただける農産物を作っていきたい」と意気込みを語りました。 馬絹の花桃 花卉部馬絹支部に所属している吉田恵一さんは、宮前区や厚木市などにある約4.2haの畑で主にハナモモなどの枝物やケイトウ、小菊などの切花を生産し、主に大田花き市場や川崎北部市場に出荷しています。畑周辺には住宅が建ち並び以前に比べて営農環境は激変していますが、都市農業を守るため近隣への配慮した栽培を心掛けています。 全国でも高い評価を受けている、広がっている枝を寄せて花芽の向きをそろえる馬絹伝統の「しおり」の技術や、温度が一定に保たれた室で開花を早める促成栽培の技法などの馬絹地区の花卉栽培の伝統と技術を守るために「しおり会」に在籍して情報交換を行っています。また、勉強会や研修会などにも積極的に参加し「これからも地域と仲間との関わりを大切にして、消費者に喜んでもらえる魅力ある花の栽培を家族で志していきます」と、伝統技術の継承とさらなる発展に励んでいます。9 施設トマト木所 大輔さん田村 英喜さん吉田 恵一さん第1部 〜JAセレサ川崎第2次地域農業振興計画の振り返り〜

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