第3次地域農業振興計画
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14《長野県と川崎市》 私は長野県の専業農家に生まれ、大学卒業後は長野県職員として21年半、長野県の農業振興に一貫して取り組みました。明治大学で研究室を主宰する野菜の他、作物や薬用植物、花卉、普及などを担当し、育種から栽培技術確立、品質評価、鮮度保持に至るまで幅広く研究しました。アスパラガスやトマト、ピーマン、ダイズなど25品種を育種して品種登録し、普及技術を数多く開発し、普及のための栽培マニュアルも多く作成しました。長野県が産出額で国内第8位の野菜の栽培研究では、前述の品目の他、レタスやハクサイ、キャベツ、ブロッコリーなどの葉菜類、ニンジンなどの根菜類も担当しました。長野県(204万人・13,560㎢)と川崎市(154万人・144㎢)では、農業の背景や栽培環境、適品目などが異なりますが、農業を地域の魅力ある産業に育てたいという振興方針は変わりません。《明治大学農学部農学科・野菜園芸学研究室の取り組み》 最近、野菜の高騰がニュースになることがあります。露地野菜の生産はもともと、季節や天候などに左右されますが、近年では、異常気象の影響を受けることが多くなっています。そのため新品種や新栽培法などの開発がさまざまな研究機関で行われています。明治大学・野菜園芸学研究室でも、多くの方々と共同で、さまざまな取り組みを行っています。その中から、画期的と評価され、全国に広がる野菜の新栽培法が生まれています。例えば、アスパラガスの「採りっきり栽培」やトマトの「ソバージュ栽培」などです。「採りっきり栽培」は、栽培期間が従来の露地栽培に比べて短く、失敗が少ないため、小規模生産者にもぴったりな栽培法です。「採りっきり栽培」では、植え付けて2年目の春には太い若茎がたくさん収穫できるため、アスパラガスの端境期の出荷を狙う生産者はもちろん、初めてアスパラガスに挑戦する生産者にもお勧めの栽培法です。「ソバージュ栽培」は、盛夏期にも生産が可能な、しかも省力的な新栽培法です。2020年現在、JAセレサ川崎様と共同研究契約を締結し「採りっきり栽培」を中心に振興しています。2.JAセレサ川崎に求められている役割(1)学識経験者インタビュー明治大学農学部 同大学黒川農場長 元木 悟准教授

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