第3次地域農業振興計画
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 川崎市の農業の課題として、持続可能な都市農業を実現するために特に重要である「人」と「農地」の確保という2つの大きな課題が挙げられます。 まず1つ目の「人」に関する課題の1つである農業従事者の高齢化について、平成29年度の川崎市農業実態調査によると農業従事者の平均年齢は62歳となっており、今後もこの傾向が続くことが想定されることから早めの対策を講じる必要があります。この点については従来、種まきから収穫、販売まで農業者のみでやっていたことを人手が必要な時にボランティアや農作業受託などをスポット利用するといった活用や近年増えている体験型農園の運営など経営手法の見直しが必要です。 次に後継者の現状としては、直近の調査で市内の約半数の農家世帯で後継者が確保できていないことから、事業承継に向けた後継者の確保はもちろん、就農から販売まで一貫したフォロー体制が必要です。当JAではこれまでも後継者向けのさまざまな講習会などを開催してきましたが、今後はそれぞれの活動に連動性を持たせるために組合内の横断的な連携や、関係機関の協力を得ながら後継者の気持ちに寄り添ったフォロー体制を構築することが求められます。加えて、地域農業の担い手となる後継者が問題なく地域に溶け込むことができるようにJAの各種イベントや食農教育などの事業を通じて、農業者同士や消費者との関係性の構築にも踏み込んだ取り組みを進めることも必要です。 2つ目に「農地」の確保については川崎市の農業の現状でも示しましたが、相続などにより農地の減少が進んでいることが分かります。川崎市では毎年生産緑地の追加拡大指定および再指定の実施に加え、平成30年3月に生産緑地の面積要件の緩和がされるなど他の自治体に比べて積極的に都市農地保全に向けて注力していますが、数字上では厳しい現状であると言わざるを得ません。さらに令和4年に生産緑地2022年問題を控える中、市内農地の約半分が生産緑地で構成されている川崎市では、さらなる農地減少のリスクが高まっています。この点については、都市農地の貸借の円滑化に関する法律の施行により、都市農地の保全手法の幅が広がったことやJAの支援策などを組合員の皆さまに周知しながら生産緑地をはじめとする都市農地の保全に努めていくことが必要です。 ここまで主に後継者をはじめとする人の課題と都市農地の課題について触れてきましたが、川崎市の農業の課題はこれだけにとどまらず生産段階の支援体制や販売流通体制の整備、他業種との連携なども挙げられます。このような現状を踏まえ、当JAでは本計画を策定し具体的な実施策を掲げ、農業協同組合として川崎市の農業の課題解決ならびに持続可能な都市農業の実現につながるよう努めます。223.川崎市の農業の課題

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